KAOSSPAD entrancerは、KORGが2003年9月に発売した、サウンド&映像用エフェクターです。
サウンド用、映像用それぞれ100種類のエフェクトを内臓。各エフェクトのパラメータを、中央のタッチパッドに触れることによって、リアルタイムにコントロールすることができます。

今回はそのKAOSSPADを実際に使ってみた印象、使い方のアイディアなどをご紹介していきたいと思います。
なお、製品の詳細はKORG社Webサイト、KAOSSPAD entrancerのページをご覧下さい。
この製品の特徴は、「タッチパッドというインターフェイスで」、「音と映像を同時にコントロール可能」な「エフェクター」であるところでしょう。
VJにとっては、数少ないハードウェアの映像エフェクターとして位置付けられます。
オーディオも含めた映像エフェクトを同時に処理するような場合に便利なBPMシンクロやMIDIインターフェイスによって、機器間のシンクロ及びコントロールも可能ですので、ミュージックPV制作の時などにも活用できるでしょう。
このKAOSSPAD entrancerを使用する際のセッティングは、本体の入出力がシンプルなので非常に簡単に行えます。

フロントパネル

リアパネル
映像入力は、コンポジットのピン入力がフロントパネルとリアパネルの両方に付いています。また、フロントパネルにのみS-Video入力も備わっています。 ただ、この入力は両方を同時に使えるのではなく、フロントパネルに付いている[Video Select]のスイッチで、フロントパネルもしくはリアパネルの入力を選択するようになっています。
通常VJが使うような場合を想定するならば、音声入力とセットになったリアパネルの映像入力の方へビデオミキサー等の機器を繋いでおき、フロントパネルの入力にビデオカメラを接続して、イベント会場の様子などを撮る時に切り替えるようにすると便利かもしれません。
このエフェクターを使ってみて、ライヴパフォーマンスに非常に適しているという印象を受けました。
本体についているタッチパッドは、X軸(横方向)とY軸(縦方向)の各々に別のエフェクト・パラメーター(要素)があらかじめ割り当てられており、触れる位置によってパラメータが変化します。
加えて(全てのエフェクトへではないですが)拡張的にトップパネルにある[FX Balance]のつまみで変化させられるパラメーターもあります。
これらのインターフェイスで実際にエフェクトを変化させてみると、ただ単に設定値だけを決めて動きだけを眺めるエフェクターに比べて、非常にインタラクティヴな動きをすることが実感できると思います。
この違いは「手の動きと、実際に映像と音で同時に起こる現象とで、フィードバックする感覚が得られる」ということに尽きます。
簡単にいうと、今まさに起こっていることを身体を通して感じるという体験に近いものです。
これまでもリアルタイム感覚でいじれるものは、ビデオミキサーなどの他社製品にもいくつかありましたが、2つのエフェクト及びサウンドまでを含めたエフェクトをクロスしてコントロールできる製品はなかったでしょう。
上の使ってみた印象の延長でもあるのですが、タッチパッドがインターフェイスとして人間的な動きによる変化であるのに対して、MIDIを使えば機械的なオートメーションの変化をつくり出すことができます。
感覚的にはタッチパッドだとエフェクト・パラメーターの変化具合が直接すぎ、動きすぎてしまう場合が多いのですが、その部分をあえてMIDIシーケンサーやMIDIコントロールチェンジ対応のVJソフトなどで操作してあげられれば、よりシステマティックな動きを演出できます。
これらは制作面でのクォリティーにおいても、とても大きなアドバンテージが得られることだと確信します。
おそらくほとんどのVJは、このKAOSSPAD entrancerを映像エフェクターとして使うのみではないかと思います。もちろんそれだけでもとてもいい効果が得られますが、敢えてこのKAOSSPAD entrancer本来の真価を発揮する使い方をしてみると、よりこのエフェクターの凄さを味わうことができると思います。それは、サウンドとのコンビネーションを独自につくり出すことです。メーカープリセットにも優れたコンビネーションのプログラムが100個用意されていますが、自分でもその組み合わせをつくり出すことができるのです。
やり方はとても簡単で、まずコントロールセレクトのノブをAUDIO側へ倒し、目的のサウンドエフェクトの番号を選択し、次にVIDEO側へノブを倒して映像エフェクトの番号を選択します。最後にノブをセンターのCOMBIに起こすだけで、サウンドと映像の両方の変化を組み合わせることが出来ます。簡単でしょう?
必要ならばこの方法で得られたセッティングを8個までPROGRAMへ記憶させておき、すぐに呼び出して使うことが可能です。
この製品に興味のある人の多くは、どんな映像エフェクトが入っているのかが最も大きな関心事だと思います。マニュアルにも名前で書かれていますが、名前からイメージが想像できない人はこれと合わせてみることで、より分かりやすくなるのではないでしょうか?
もちろん実際に見ないと分からないとは思いますが、補助的な説明としてそれらを簡単に番号で追ってみましょう。